フリーランスなら知っておきたい国民年金と厚生年金の違い

制度解説

フリーランスが直面する「年金格差」の正体

年金制度の違いに気づくフリーランス

フリーランスとして独立した瞬間、多くの人が気づくのが年金制度の大きな変化です。会社員として働いていたときは「厚生年金」に加入していましたが、独立後は「国民年金」のみになります。

この違いは、将来の受給額に直結します。国民年金と厚生年金の違いを正確に理解しておくことは、フリーランスとして長く働くうえで避けて通れないテーマです。

国民年金と厚生年金の違い――フリーランスはどちらに入るのか

国民年金と厚生年金を比較する様子

日本の公的年金は2階建て構造になっています。1階部分が「国民年金(基礎年金)」で、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。2階部分が「厚生年金」で、会社員や公務員など、勤め先を通じて加入する制度です。

フリーランス・個人事業主は、1階部分の国民年金だけに加入します。厚生年金の2階部分はありません。この差が、老後に受け取れる年金額の違いに大きく影響してきます。

たとえば、国民年金の満額受給額は2026年度時点で月額約6万8,000円程度ですが、厚生年金を長く積み重ねてきた会社員は、これに上乗せされた形で受け取れます。フリーランスが受け取れるのは基礎年金のみのため、同じ期間働いても、会社員より老後の年金収入が少なくなる傾向があります。

保険料の負担のしくみ――会社員との決定的な差

保険料の自己負担を計算するフリーランス

保険料の払い方にも大きな違いがあります。会社員の場合、厚生年金の保険料は会社と本人が半分ずつ負担(労使折半)するしくみです。給与明細に載っている金額は、本人負担分の半分にすぎません。

フリーランスは国民年金保険料を全額自分で払います。2026年度の国民年金保険料は月額16,980円(※制度改正により変更される場合があります)で、会社員のような折半はなく、全額が自己負担です。

また、厚生年金の保険料は給与に比例して決まるため、会社員は収入が上がるほど将来の受給額も増えるしくみになっています。国民年金の保険料は収入に関係なく定額のため、受給額も一定の上限があります。

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払えないと感じたとき――免除・猶予制度を使う前に知っておくこと

市区町村窓口で免除申請をする様子

収入が不安定なフリーランスにとって、毎月定額の保険料が重く感じる時期もあるはずです。実際に検討する方からよく聞かれる質問として、「払えないときはどうすればいいのか」というものがあります。

国民年金には、所得が低い場合などに使える「保険料免除制度」と「納付猶予制度」があります。免除には全額・4分の3・半額・4分の1の4段階があり、前年所得をもとに審査されます。

手続きはお住まいの市区町村の窓口、または年金事務所で行います。申請は毎年必要で、7月から翌年6月分を対象とするのが基本です。失業や廃業の場合は、特例として前年所得を除外して審査してもらえる場合があります。

免除・猶予を使うと将来の年金はどうなるか

上乗せ制度を調べるフリーランス

免除・猶予を利用することで保険料の支払いが軽減されますが、将来受け取る年金額には影響が出ます。この点は正直に理解しておく必要があります。

全額免除を受けた期間は、受給資格期間としてカウントされますが、将来の受給額は満額の2分の1程度になります(国庫負担分のみ反映)。納付猶予の場合は受給資格期間にはなりますが、受給額には反映されません。

免除・猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば追納(さかのぼって支払うこと)が可能です。追納すると受給額を満額に近づけられますが、2年を超えた分は加算額が上乗せされます。追納を検討する場合は、早めに動くことをおすすめします。

フリーランスが年金の上乗せを検討する際の選択肢

ねんきんネットで記録確認をする様子

国民年金だけでは老後の備えが薄いと感じた場合、自分で上乗せの制度を活用するという方法があります。フリーランス・個人事業主が利用できる主な制度として、iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金があります。

iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になり、節税しながら老後の資産形成ができる制度です。ただし、運用成果によって将来の受給額が変わる投資性の商品も含まれるため、元本を下回る可能性があることは念頭に置いてください。国民年金基金は掛金が確定しており、受給額があらかじめわかる点が特徴です。

どちらが自分の状況に合っているかは、収入の安定度や資産状況によって異なります。詳しくは税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談することをおすすめします。

手続きのタイミングと確認先まとめ

開業後の年金切り替え手続きをする様子

フリーランスとして独立・開業した場合、会社員時代の厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。退職から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で手続きを行います。

年金に関する手続きや疑問は、日本年金機構のウェブサイト(www.nenkin.go.jp)や、全国各地の年金事務所で確認できます。ねんきんネットに登録すると、自分の年金記録や将来の見込み額を確認できるため、活用してみる価値があります。

「自分はいくらもらえるのか」を一度具体的に確認しておくだけで、老後の備えをどうするかの判断がずっとしやすくなります。国民年金と厚生年金の違いを起点に、フリーランスとしての資産形成全体を見直してみることは、今後の選択肢を広げる一歩になるはずです。

よくある質問

Q. フリーランスになると厚生年金には一切入れないのですか?

A. 原則として、フリーランス・個人事業主は厚生年金に加入できません。ただし、法人を設立して代表者になる場合は、一定の条件のもとで厚生年金に加入できるケースがあります。詳細は年金事務所にご確認ください。

Q. 国民年金の保険料を払い続けると、将来いくらもらえますか?

A. 国民年金を40年間(480か月)納付した場合、満額の老齢基礎年金を受け取れます。金額は毎年度改定されるため、ねんきんネットや年金事務所で自分の見込み額を確認することをおすすめします。将来の受給額を保証するものではありません。

Q. 保険料の免除を受けた期間は、後から取り戻せますか?

A. 免除・猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば追納が可能です。ただし3年目以降の分には加算額が上乗せされます。追納を検討する場合は、年金事務所に早めに相談されることをおすすめします。

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