仕事中にケガをしても、個人事業主には労災が下りない

会社員であれば、仕事中にケガをしたり病気になったりしたときは労災保険が支給される。これは当たり前の前提です。ところが個人事業主は、この当たり前がない。
現場での転倒、重い物を持つときの腰痛、長時間の作業による腱鞘炎。そうしたケガや体のトラブルが起きたとき、個人事業主には原則として労災保険が適用されません。
「もし大きなケガをしたら、その間の生活費はどうしよう」と考えたことはありませんか。会社員の友人に同じ心配を打ち明けたとき、「え、そんなことがあるんだ」と少し驚かれてしまう。フリーランスを選んだ手前、こうした不安を人に話しにくい空気が自分の中にあるかもしれません。
でも、その不安は当たり前です。会社員と個人事業主では、守られ方が根本的に違うのですから。
個人事業主が労災に特別加入できる制度がある

実は、こうした状況に対する制度が用意されています。それが労災保険の特別加入制度です。
「こんな制度があったのか」と感じる人も多いかもしれません。労災保険という言葉は知っていても、個人事業主にも適用する方法があるという情報は、なかなか目に入る機会がないものです。
特別加入制度は、以下のような職種の個人事業主や中小企業の経営者を対象としています。建設業の一人親方、トラック・タクシー運転手、美容師、理容師、飲食店経営者、農業従事者、デザイナーやプログラマーなど、事務系の職種にも対応しています。
ここで大切なのは、加入は任意だということです。強制ではなく、自分の判断で加入するかどうか決められます。加入手続きは、労働保険事務組合や各職種に対応した特別加入団体を通じて行います。
厚生労働省や各地域の労働局のウェブサイトで、自分の職種に対応した加入団体を探すことができます。直接問い合わせることで、加入条件や手続き方法について詳しい説明を受けられます。
特別加入の保険料はいくら?給付基礎日額で変わる仕組みを知ろう

加入を検討するとき、誰もが気になるのが保険料です。「毎月いくらかかるのか」という現実的な質問は、決して後ろめたいものではありません。
特別加入の保険料は、以下の計算式で決まります。「給付基礎日額×365日×保険料率」です。給付基礎日額というのは、ケガや病気で休業したときに補償の基準となる日額を自分で設定する仕組みです。
具体例で見てみましょう。給付基礎日額を3,500円に設定した場合、保険料率が1.35%なら年額の保険料は約17,253円になります。月額で換算すると、およそ1,438円です。
給付基礎日額を5,000円に設定すれば、年額は約24,648円、月額は約2,054円になります。さらに日額を10,000円に設定した場合、年額は約49,275円、月額は約4,106円です。
保険料率は業種によって異なります。建設業などリスクの高い職種は2%前後、事務系の職種はより低い率が設定されるケースが多いものです。自分の職種でどの程度になるのか確認することが大切です。
月額4,000円前後であれば「意外と払えるかもしれない」と感じる人も多いのではないでしょうか。もちろん個人事業主にとって毎月の固定支出は重い決断ですが、少なくとも相場を知ることで、漠然とした不安は輪郭を持ち始めます。
入金までの期間が長く、資金繰りが不安になりやすい方へ。請求書を最短即日で現金化できる仕組みもあります。
加入したときに何が補償されるのか、ざっくり確認

保険料の金額が見えてきたら、次に気になるのは「実際に何が補償されるのか」という点です。
特別加入で受けられる給付は、主に以下の種類があります。療養補償(ケガや病気の治療費)、休業補償(仕事ができない期間の生活費)、障害補償(後遺症が残ったときの補償)、遺族補償(万が一の場合の遺族への補償)です。
中でも多くの個人事業主が気になるのは休業補償でしょう。特別加入では、給付基礎日額の80%が1日あたりの休業補償として支払われます。給付基礎日額を5,000円なら、1日4,000円の補償が得られるという計算です。



